第9章 黒猫の笑い声
「仰せのままにー。」
「待って待って俺も行くって!」
「じゃあさっさと着替えて。」
「ハーイ…。」
クロの部屋から出て、再びリビングに戻る。…と。なんとお着替え中の赤葦くんと木兎が並んでた。しかも、パンツしか履いてねえ。わー2人共ボクサーパンツだー…いやそうじゃない。
「す…スミマセンデシタ!」
流石に慌てて、自分の部屋に駆け込んだ。いくら男共と生活ばっかしてたといえど…流石に…流石に。恥ずかしい。木兎も赤葦くんも逞しい身体してたな。後で二の腕触らせて貰お。
気を取り直して部屋の鍵を閉め、タンスを開いて今日の服を選ぶ。えーと…白のオフショルトップスと…青のガウチョパンツ。後はショートブーツにしよ。後はぼっさぼさの髪型なんとかしないと。
着替えを終え、洗面所に行くとそこには木兎が立っていた。髪の毛のセット中か。今度はちゃんとジャージ着てる。…昨日すぐ洗濯回したけど、よく乾いたなTシャツ。
「あ゛っ!その格好すげー似合う、可愛い!」
「えっ、木兎に褒められるとなんか怖い。」
「なんで!?喜べよ!」
「不安になる…。」
「ヘイヘイヘーイ俺のセンス疑ってんの!?」
「その髪型だしね。」
「カッコイイじゃん!」
ぷうぷう唇尖らせる木兎。子供か。あとワックスでベタベタな手であちこち触るな。私は隣に並んでいつものように髪を梳かし、髪ゴムへと手を伸ばした。…あれ。無い。いつもの場所に髪ゴムが無い。
「えー?ゴム無い何で!?」
「おっ……お前昼間っから何言ってんの…?」
「髪ゴムだよバカ。クーロー!私のヘアゴム知らない!?」
リビングに向かって大声で叫ぶ。すると、律儀な事にわざわざクロが洗面所までやってきた。クロは流石に私服だな。
「知らねー、なくしたの?」
「いつもの場所にないー、予備もない…。」
「あーあ。じゃあ買い物ついでに買ってあげるから、今日はそのままで我慢しなさいよ。」
「えー!?」
「無いもんは無いんだから仕方ないデショ。その格好に似合ってると思うぜ?」
「くそー、最初にゴム買おう…。」
「俺の話もーちょい聞いて?チャン。」
「フられてやんの黒尾ざまぁ!」
「うるせー木兎!ワックス流すぞ!」
「辞めろ!!」