第7章 黒猫、飛び上がる
相変わらずよく気が回るというかなんと言うか。まるでお兄ちゃんみたいだ。…いや、普通の兄にしてはシスコン気味か…?水溜りを避けながら、部室へ向かう。なんだかホントに嫌な天気だな…雷とか、鳴りそう。風もめちゃくちゃ強いし困る。今にもこう…ピカッて。
嫌な空気を感じつつ、部室前で傘を閉じ軽く水を落としてから部屋に入った。中には誰も居らず、とりあえず電気を付けタオルを洗濯機に投げて回した。よし、コレでバッチリ。後は終わるまで、自主練習見ておこう。
「リエーフ!腕だけで上げようとすんじゃねー!腰落とせ腰!」
「夜久さん厳しい!!」
「あかーしもう一本!!」
体育館は相変わらず活気を帯びていて、未だに皆元気に跳ねて打って止めてを繰り返していた。スタミナ馬鹿だなホント…。半ば呆れつつ、暇な私は出しっぱなしになった得点ボードを片付けたり、試合の結果を書き殴ったノートを綺麗にまとめ直す。あー…お腹空いたなぁ。雨の日に買い物はめんどくさいし、家にあるもので作れるものといえば……オムライスかな。手っとり早く。
「あぶねえ!」
「ん?」
クロの声にノートから顔を上げた。すると物凄い勢いで私に迫ってくる、ボール。あ、これきっと流れ弾だ。ヤバイ避けられない、当たる。そう思って、目を硬く閉じた。…しかし、ボールはいつまでたっても当たることはなく、すぐ近くでボールが何かに当たる音だけが聞こえた。恐る恐る、片目を開く。
「あっぶねー、大丈夫か?」
「ぼ…ッ、木兎。ありがとう。」
立っていたのは、木兎だった。どうやら咄嗟に、ボールを手で弾いてくれたらしい。夜ご飯どうしようとか関係ないこと考えてたからかな。ボーっとしてた私が悪い。ちょっと心臓がまだドキドキしてる。もちろんビックリしたという意味で。
「リエーーーフ!だから腕に当てるだけじゃ意味ねーつってるだろ!!」
「あぁあすんません黒尾さん!大丈夫ですかさん!!」
「うん、大丈夫大丈夫。私もボーッとしてたからさ。」
どうやら流れ球の原因はリエーフだったらしい。予想はしてたけど。大きく酸素を吸い込み深く吐き出した。その時だった。
ピシャッ!!