第7章 黒猫、飛び上がる
体育館に戻り始まった午後の練習試合。結果は、7セットやって3勝4敗。…まぁ悪くも無いけど、良いとも言えない。そんな結果。外はいつの間にか土砂降りの雨で、現地解散の梟谷は木兎と赤葦くんだけは残りそれ以外のメンバーは電車が止まると困るから、ということで帰ってしまった。正直英断だと思う。私は教室前の水道でボトルを綺麗に洗ってから体育館へと戻る。
そして今、自主練時間になったっぽい。
「おーい黒尾!俺達の自主練習付き合えよ!ブロック跳んでくれ!」
「おーイイぜ、ドシャッと止めてやるよ。犬岡も付き合え!」
「ハイ!」
「あ、じゃあ俺レシーブ拾っていい?」
「夜久、ついでにリエーフにもやらせておけ。」
「げっ!」
「そうだな。よーしリエーフ、逃げんなよー?」
「お…俺も打ちたいです夜久さーん!!」
「お前はレシーブグズグズなんだからそっちを練習しろ!」
「ううッ…!黒尾さんヒドイ…。」
「あッ、俺も打たせて下さい!!」
「いいよ、そっちのセッターとはまた違うと思うけどそれでも良ければ。」
「おう!頼むぜ赤葦!」
試合が終わればなんだかんだ好敵手として仲もいいわけで、残った木兎、赤葦くんに加えクロ、夜久ちゃん、リエーフ、山本、犬岡で自主練習をやるらしい。…あんだけ試合した癖に、元気だなコイツら。流石男の子って所か。私は使い終わったタオル類を洗うべく、買い物かごにボトルとタオルを大量に突っ込んだ。そして体育館入口で靴を履いて気づく。…傘無いんだったなそういえば。走ればいいかなぁ。
そう思って、1歩踏み出すとそれを止めるように肩を掴まれた。
「オイオイお嬢さん、流石にこの土砂降りの中走ったらすっ転ぶんじゃないの?」
「えー、だって傘無いし…。どっかのクロが教えてくれなかったから。」
「人のせいにするんじゃアリマセン。折り畳み貸してやるから、コレ使え。走るなよ?」
「傘あるのにわざわざ走らない!」
どうやらクロが体育館に持ってきていたカバンに入っていたらしい。勝手に使えばよかったなー。手渡された真っ黒い折りたたみ傘の持ち手を引っ張り、傘を開く。男用だからか、折り畳みでも結構大きい。
「ありがと。」
「どういたしまして。」