第6章 黒猫と梟の戯れ
「イチャついてないです。後木兎さん邪魔なんで体育館戻って下さい。」
「邪魔じゃねーよな、?」
「割と邪魔だから体育館戻って下さい。」
「ひど!もっと歓迎してくれてもいいだろー?」
結局問答無用でどさりと赤葦くんの隣に座った木兎。結局聞きそびれたし…。空気読めよミミズクヘッド。
「で、何の話?」
「文化祭の話です。」
しれっと嘘ついたよ赤葦くん。扱いに慣れてるなぁー…。伊達にこの気分屋の副主将は務めてないって事かな。
「そーそー文化祭!!申請しちまったぜ!さっき黒尾にどやされたけど!楽しみだなー!」
「その後直ぐインハイありますから、気を抜かないで下さいよ木兎さん。」
「抜かねーよ、それとこれとは話が別だ!」
「木兎はなんかやりたい事あるの?文化祭。」
「んー?そうだなー、旨いもんが食いたい!!」
「いや、うんそれは私もだけどそういう意味じゃない。」
「何の模擬店をやりたいか、って意味ですよ。」
「え!?考えてねーなー。と赤葦は?」
「執事喫茶やろ。木兎多分似合うよ。超カッコイイ。」
「にッ…似合うか!?そうかぁ!?」
「さん…。」
「木兎乗せれば勝ちかなって思ったごめん。」
だって赤葦くんの執事姿見たいし、とは言わない。ただ向けられるジト目に対して曖昧に笑っておく。しばらく文化祭についてあーだこーだ話していると今度は雪絵ちゃんが駆け寄ってきた。
「おーい、後半始まるよ~。」
「はーい!ありがとう!」
「っし、行くぞ赤葦!!次のセットは1点もやらねぇ!」
「1点もっていうのは無理だと思います。」
「赤葦たまには乗ってきて!?」
「少しさんに話があるんで先行ってて下さい木兎さん。」
「おー、早くお前らも来いよ!」
「赤葦くん?」
話ってなんだ。首を傾げて瞬きを繰り返すと、不意に赤葦くんの手が私の頬へ伸びた。その手は柔らかく頬を撫でそのまま首筋を滑る。な…ななななんだ、これは何が起きてるんだ!?
「目、閉じて下さい。」
「えっ!?」
「ほら早く。」
「ハイ!」
後輩なのにこの言いようのない威圧感。流石梟谷で副主将やってるだけあるわ。いやそうじゃない。さっきから私の身に何が起こっているのか。