第6章 黒猫と梟の戯れ
「え、い…いいの?是非!」
「良かった。体育館だと色々うるさそうなんで別の所で。」
「うん、中庭でいい?」
「はい、行きましょう。」
ちょっと予想もしていなかった赤葦くんからの誘いに、にやけそうになるのを抑え2人で中庭へと向かう。雲がかって少し冷えるけど、バレーやったばっかりの赤葦くんにとっては涼しいんだろうなー。
適当な場所に座り、袋から出したメロンパンの袋を開ける。赤葦くんはお弁当だ。
「文化祭、スミマセン木兎さんが勝手に申請したみたいで…。」
「いいのいいの、私も誘いたいと思ってたし!さっき雪絵ちゃんと話しててさー、執事喫茶とかどう?」
「えっ。」
「赤葦くん絶対似合うと思うんだよな!!」
「いや俺は…」
「大丈夫、一番似合うの探しておくから。」
「……ありがとうございます?」
「どういたしまして?」
「さんは何か着ないんですか?」
「え、私は裏方でいいよ執事喫茶だし。」
「折角だから着たらいいじゃないすか、高校最後でしょう?」
「いやぁ、執事はちょっと…。」
「メイドとか。」
「赤葦くん意外な事言うな!?絶対やだよ!?」
「俺達には執事着せるのに?」
「うッ…。」
したり顔で笑う赤葦くん。くそーカッコイイな。カッコイイけどメイドは着たく無いな。
「それと…黒尾さんの件ですけど。」
「あ、それね!!私の親が宮城に長期出張する事になったんだけど私は行きたい大学こっちでさー。女の子1人は心配だからって、親達が勝手にクロを送り込んできたのよ、幼馴染みだから安心とか意味わかんない事言って!」
「あー…。」
「恋人じゃない男と同棲させるほうかよっぽど危なくない!?」
「危ないですね。特に黒尾さんは。」
「でしょ!?まぁ実際は何事も無いけどさー。」
「黒尾さんに好意があって同棲してる訳じゃないんですね。」
「うん、完全に親達が勝手にやった事だね。」
「良かった。それならまだ俺にもチャンスはありますね。」
「……チャンスって、なん」
「ヘイヘイヘーイ!あかーしお前居ないと思ったら何イチャ付いてんの!!木兎さんを差し置いて!」
私の言葉に、木兎の声が綺麗に重なってかき消された。本当うるせーなコイツ。声量もうちょっとなんとかならないのか。