第5章 黒猫の足跡、2つに並ぶ
大量に買い物かごへ詰めたボトルを持って水を汲みに行く。折角体育館三つある場所だしなぁ。なんか面白いことできたらいいのに…何校か招いて公開練習試合とか。難しいか。
「暑くなってきたなー。」
春もほとんど終わりかけ。待ちに待ったゴールデンウィークももう目の前。今年の連休はどうなるかなー。練習試合詰めるとは思うけど。
完成したドリンクを持って体育館へと戻ってきた。そこには既に監督もコーチも居る。しかも心無しかなんだか嬉しそうに見える。
「お疲れ様でーす。なんか猫又監督嬉しそうですね?」
「お疲れ、。烏野との試合だけどね、やる事にしたよ。今年のGWは宮城で遠征だ。」
「え!?そりゃまた…楽しそうですね!」
「他にも何校か練習試合組もうと思ってるんだけど、的には何処が良いと思う?」
直井コーチに突然振られた質問に私は首を捻った。そんなに宮城に詳しいわけじゃないからなぁ。それでも全国で強いチームはマークしてるけど。
「そりゃもちろん、青葉城西ですね。後は伊達工とかもいい練習になると思います。白鳥沢は…練習試合こぎつけるの難しいんじゃないかな。」
「そうだなぁ…連絡入れてみるか。」
「青城なら私3年のセッターと知り合いですよ。聞いてみますか?ゴールデンウィークの予定。」
「おぉ、それは助かるな!頼むよ。」
「はーい。」
あんまりアイツと連絡取りたくないけど。チームの為なら仕方ない。後で声掛けてみるか…。
それから程なくして部員達は戻り監督とコーチの厳しい指導の中部活は始まった。春終わりの時期といえどそのハードな練習量に、タオルもボトルも消費が半端じゃない。水道と体育館を行ったり来たりしつつ、彼らのバレーを眺める。
バレーシューズの音、ボールがたたき落とされる音、選手達の覇気や熱気。この空間はとても熱くて好きだ。私まで心が沸き立たせられる。私が男で、尚且つ球技が得意だったら絶対選手の方を選んでいたと思う。
「、悪いけどボトルもう1本頼むわ。」
「はい、使ったの洗うから新しいの持ってっていいよクロ。」
「おー、ありがとな。」
「ー、俺のタオル知らねー?」
「夜久ちゃんのタオルは邪魔そうだったから私が持ってる!ハイ!!」
「サンキュー。」