第4章 黒猫の足跡、体育館に消える
そして今、放課後になる。私はホームルームが終わると同時に素早く静かに教室を抜け出す。
「、部活行く…いねえ!」
「早すぎだろアイツ!夜久、探して捕まえろ!」
「ったく…人の言う事たまには聞けよ…!」
そんな会話が教室で繰り広げられていたなんて当然知るよしもなく。向かった先は今は殆ど使われていない体育館倉庫。
「ここかな。」
体育館倉庫の扉は普段締まってるはずだけど。どう鍵を手に入れたのかは知らないが開いていた。両開きの扉を左右にスライドさせ中へ足を踏み込む。放置気味だったせいか少しホコリっぽい。
むせ込みそうになるのを抑えながら辺りを見渡すと、1人の女の子。髪の毛くるくるに巻いて、化粧もバッチリ。そんな、私とは対照的な可愛らしい子。
「来たわね…。貴方が三年だからって、許せないわ。」
「またクロのファン?一年生?」
「クロ……?あぁ、あんなトサカ頭興味無いわよ!私の…私の可愛い夜久先輩をよくも…!」
「は!?夜久ちゃん!?」
「そうよ!!私、中学の頃から同じ学校でずっと見てきたのに!高校まで追いかけたら、なんでアンタみたいな女が仲良く…!」
あぁ、もう何度も聞いた言葉だ。なんでアンタみたいな女が、可愛くないくせに、ビッチ。高校に上がってからは何度も言われた言葉だった。いや私処女だし。
「あのねぇ…貴方が何年夜久ちゃんを見てきたのかなんて私は知らないし興味もないけどそんなに好きなら夜久ちゃんにアタックすればいいでしょ。アンタの恋愛事情に私を巻き込まないで。」
「なんですって…!?」
いかにも腹立たしそうに顔を歪めた女の子。しかしその表情は直ぐに余裕なものへと変わった。私はその違和感に少し、警戒する。
「…まぁイイわ。入って頂戴。」
目の前の女の子の言葉と共に、ゾロゾロと体育館倉庫に入ってきた3.4人のそこそこガタイのいい男達。うわ、私が今までフッた奴も混じってる。ていうか、マジか。マジでこんな事あるんだ。
「久しぶりチャン。元気にしてた?」
「何時も強気な癖にビビってんの?可愛いとこあるじゃん。」
「もちろんアンタの事は調べ済なの。ほら、先輩達、大好きだったですよ。鍵は閉めておくから、好きにして。」
「…なにこれ、マジで言ってる?」