第4章 黒猫の足跡、体育館に消える
パン、と手を叩き話を強制終了させる。女の子扱いされるのは合わないし何より、こんな事小学生の頃から結構あった。昔仲良かった宮ツインズも、クロも実は女にモテるから。最初のうちはやっぱ怖いなーとかあったけど、人間の慣れというのはとても凄い。順応性というかなんというか。
それでも仲良くしてくれる女の子は居るしまぁこの生活に文句はない。
「あっ、悪い、今日化学の教科書忘れたから見せてくんね?」
「うん、いいよ。席くっつけよ。」
「ハーイ、それ黒尾サン妬きマース。」
「何そのどうでもいい申告。」
隣同士の夜久ちゃんと席をくっつける。もうすぐ授業も始まるということでさっさとカバンの中身を机の中へと移した。
「化学やだなー、何言ってるかわかんなくね?」
「教科書見た方が正直わかりやすいよね。」
化学の教科書だけ机に残しお互いの真ん中に置いて開く。程なくしてチャイムが鳴り担当の教員がやって来て授業が始まる。ノートだけ一応書き写してると不意に隣からノートの切れ端を渡された、夜久ちゃんからだ。
"放課後マジで行くの?"
それだけ書かれたノート。私もそのノートにシャーペンで書き込んだ。
"行くよ。"
"やっぱ俺も着いてく、心配だし。"
"ダメだよ、夜久ちゃんに万が一の事があったら私は嫌。"
"お前に何かあっても俺は嫌だ。"
"夜久ちゃん優しいね。"
"別に、誰にでも優しい訳じゃないけど。"
思いもよらない返事に私はきょとんとしてシャーペンを走らせる手を止めた。チラッと夜久ちゃんを見ると思いっきり逸らされてる顔。…夜久ちゃん耳真っ赤だよ。そんな彼の袖を摘み軽く引っ張って真っ赤な耳にそっと耳打ちした。
「ありがとう。」
「べッ…別に。」
授業終了のチャイムが鳴り響く。それからは夜久ちゃんと筆談で話すことも無く淡々と授業の時間は過ぎて行き昼休み。お腹空いたー、と思いつつグッ、と伸びをして首を鳴らせば、妙ににこやかなクロが席までやって来る。
「、ちょっとおいで。」
「ええ…ごはん…。」
「ダメ、来い。」
「せめてお弁当持って…ああぁ。」