第4章 黒猫の足跡、体育館に消える
「やば、久々にラブレター貰っちゃった。」
「誰から?」
「放課後体育館倉庫に来いって。」
「オイそれラブレターじゃなくて女子からのお呼び出しじゃね?チャン。」
「そうとも言いますね。」
バレー部の朝練にちらっと付き合った後、夜久ちゃん、クロ、海くんと下駄箱に向かったら入っていた手紙。覗き込んでくるクロたちを無視して、その場で開いてみたら女の子特有の可愛らしい字で女の子とは思えない罵詈雑言と放課後旧体育館倉庫に来やがれー!っていう内容だった。とりあえず貧乳って書いたこの女は殺す。要約すると、私がバレー部の男共と仲いいのが気に食わない子が怒ってるらしい。1年かな、多分。最近こんな事無かったし。別にこれが初めてってわけじゃないし、流石にもう怖いとも思わないけれど。
「まじでこういう事有るのか。女の子って怖いねェ。」
「行くのは辞めときなよ。怪我人が出そうだし。」
「ねえ海くんそれ私じゃなくて呼び出した女の子を心配してるよね?」
「だって今まで全部返り討ちにしてただろ?」
「何で海くんがそんな事知ってんの?お前らのその情報網どうなってんの?」
陰でコソコソ自分で処理してきたっていうのになんでコイツらはそれすら知ってるんだよ。手紙を破り近くのゴミ箱に捨て3人で教室へ向かう。隣に立ってた夜久ちゃんは何か思い詰めた様な表情を浮かべると心配そうに私を見てた。
「…マジで行くなよ?今までは良くても、何が起こるかわからねーし。」
「夜久の言う通りだな。引っ張ってでも部活連れてくぞ。」
「あのねぇクロ…逃げ回ってて解決すると思ったら大間違いなんだよ。アンタたち男には分からないかもしんないけど女は結構ねちっこい生き物なの、抵抗しないと分かればどうせエスカレートするって。」
「なら俺も付いてく。」
「アンタ達今大事な時期なのわかってる?しかもクロ、アンタはキャプテンでしょ?こんなくだらない手紙一枚の為に時間割くなんて辞めて。問題起こっても困る。私は大丈夫だって、そんな力弱い訳じゃないし。」
「それでもお前は女だろ。」
「もー、夜久ちゃんも心配し過ぎだから!大丈夫だって!危なくなったら逃げるし!はい、この話オシマイ!」