第3章 黒猫の足音、屋上を駆ける
「何処で食う?」
「屋上がいい、天気いいから!」
「じゃあ決まりだな。」
本来屋上は生徒勝手に入っちゃダメなんだけどね。鍵の管理が甘いのが悪い。屋上は予想通り日差しが有りあったかい。
「最高の昼寝日和だね!」
「お前数学。」
「夜久ちゃん後で数学のノート見せて。膝枕してあげる。」
「任せろ。」
「ちょろい、夜久ちゃんちょろい。」
「オイ夜久!甘やかすなって!」
「俺が見せてあげようか?。」
「海!お前も!つーかお前らが見せるくらいなら俺が見せますー!」
「甘やかすなという発言は何だったんだ黒尾…。」
フッ、と鼻を鳴らした夜久ちゃん。屋上のど真ん中で4人弁当を開く。すると直ぐに、海くんが小首を傾げて私とクロの弁当を見比べた。
「……と黒尾は何で全く同じ弁当なんだ?」
「うわッ、ホントだ!」
「そりゃあ、そういう関係ですから?」
クロがドヤ顔を浮かべたかと思うと不意に肩へ腕を回され抱き寄せられる。どういう関係だよ。別にバラした所でどうこうなる訳でない為、弁当の中身を箸で摘みつつ2人にパッパと事の経緯を話すと、夜久ちゃんも海くんもあっさり信じてくれた。
「なるほどなー、というかそこそこ忙しい時期なのに引越しとか大変だっただろ。呼んでくれれば手伝ったのに。」
「夜久ちゃんのそういう優しい所好き。」
「男は俺が居るから十分ですー。荷物って言っても俺のだけだしね。」
「黒尾のこのめんどくさい嫉妬どうにかならないの?。」
「それをどうにかするのが海くんの役目じゃん!頑張ってよ!」
「無茶言う。」
「お前らの俺の扱いなんなの?」
弁当を一番に食べ終わったクロは、不服そうに顔を顰め拗ねたように仰向けに寝っ転がった。直ぐに夜久ちゃんと海も弁当の中身を平らげ満腹そうに腹を摩る。
「なー、今度俺にも作ってきてよ。」
「えっ、夜久ちゃんに?流石にめんどくさい。」
「じゃあ食いに行く。」
「ウチ定食屋とかじゃないから。」
「俺も行きたいなー。」
「海くんまで…いやだからウチ定食屋じゃないから…。」
「が好きなアイスとケーキ買ってく。」
「ハーゲンと駅前の美味しいチーズケーキで手を打とう!!」
「「ちょろいな。」」