第14章 三毛猫の独白。クロ猫の噛み跡
「も当たり前みたいにクロの汗拭いてたけど、おかしいからね。」
「え…?」
だから、2人してびっくりした顔でこっち見ないで欲しい。
おれは深くため息をついて再び歩き出した。なんとなくだけど、この2人はずっと変わらない気がする。おれとの関係も、他の人たちとの関わり方も。
何なら、たとえお互い別で恋人が出来ようが2人はこの距離でいそう。そのせいで相手と上手くいかない所まで想像出来た。恋愛シュミレーションゲームには興味無いけど、幼なじみのふたりがどうなっていくのかだけはほんのちょっとだけ、楽しみかもしれない。
「研磨、何笑ってるの?」
「別に。もし2人が付き合う事になっても、おれともたまに遊んでね。」
「はぁ〜?当たり前だろ。研磨は俺たちの幼なじみなんだから。」
「ほんとだよ!!たまにじゃなくて毎日遊ぼうよ研磨〜!」
「うわ、だからいちいち引っ付かないで…!」
腕に飛び付いてくるの肩を押し返す。…そういえば、クロはにくっつく人に怒るけど、おれにだけは絶対怒らないな。これも幼なじみ贔屓なのか、それともおれがのこと好きになることは無いって思ってるのかな。……今度おれからにちょっかい掛けたらどんな顔するのか試してみよう。そんな事を考えながら家に帰った。
それからほんの数日後。いよいよ遠征合宿が始まる。新幹線ではクロ、おれ、の順で席に座った。
「研磨眠そうだね〜。着くまで寝る?」
「寝ない、ゲームする。」
「通常運転ー。ちょっとはワクワクするとかねぇの?研磨クンはさぁ。」
「ないよ。やる事はいつもと変わらないでしょ。」
「超ミラクルスーパー面白い選手居るかもよ?」
「なにそれ。でもまぁ…確かにそんな選手が居たら楽しいかもね。」
「楽しみだなぁ烏野!去年のデータ見る限りだとそんな凄そうでは無かったけど。あ、研磨クッキー食べる?」
「…うん。」
ぱか、と小さく口を開ける。両手はゲームで塞がってるから食べさせて欲しい気持ち半分、クロをからかいたい気持ち半分。
は袋から1枚取り出すと、それをおれの口元まで運ぶ。素直に食いつくと、両側から凄い視線感じる。はキラキラした目してるし、クロはびっくりしてた。