第14章 三毛猫の独白。クロ猫の噛み跡
「…なに?じっと見て。」
「研磨が懐いてくれてお姉さんは嬉しいよ…。」
「手が塞がってただけ。揺れるから頭撫でないで。」
ゲームしててもお構い無しにはおれの頭を乱暴に撫でる。口に残るクッキーを咀嚼しながらチラリとクロを見て、笑ってみた。…あ、何か言いたそうな顔してる。
「……チャン、俺にも1枚。」
「ん?はい。」
「いや、ハイじゃなくて。」
「はい。」
「………。」
「んっふ。」
はクッキー袋の口をクロに向けて差し出す。何をして欲しいのか多分、分かった上で真顔のまま軽く袋を揺する姿に思わず吹き出した。クロは更に何か言いたそうな顔で歯を食い縛ると思いっきり袋の中に手を突っ込んでクッキーをバリバリ噛み砕く。怒らないあたり、やっぱりクロはおれたちに甘い。
「研磨だけ露骨に甘やかしやがって…!!」
「なになに、お菓子配ってんの?俺にも頂戴。」
「お、夜久ちゃん。いいよ、あーん。」
「んん!?」
「はァ!?」
おれの後ろからひょっこり顔出して来たのは夜久くんだった。は軽く顔を上げると再びクッキーを摘み上げ少し腰を浮かせて夜久くんの口元に運ぶ。夜久くんは少し驚いた声を上げて顔を赤くしたけど、食べた。その瞬間、おれの心臓あたりがモヤモヤする。何だろう、コレ。後クロが真顔で固まっててちょっと怖い。
「海くん達も食べる?袋回していいよー。」
「ありがとう。」
「俺も……ッ!俺も女子にあーんってされたい…………!!」
「あざーす!」
袋を後ろの海くんに渡してぽすっ、と椅子に座り直した。……顔合わせたら死ぬんじゃないかなって位、クロが怒ってるのが分かる。これが何かのゲームだったら、オーラみたいなの出てると思う。
「。」
「何…ひぇっ。」
「お前帰ったら覚悟しとけよ。」
「……研磨、合宿終わったらちょっと泊め」「絶対やだ。」
「薄情者ぉ!」
「今のはが悪いでしょ。」
クロはおれだから何も言わない。それをは全然分かってない。馬鹿だなぁ。
それともうひとつ、気付いたことが有る。
「ねぇ、。」
「何?研磨。」