第3章 黒猫の足音、屋上を駆ける
「うん、流石に分けるのはめんどくさい。」
「同棲してるって知らないやつに見られたら面白いことになりそうだな。」
「面倒な事の間違いだよね、それ。」
リビングから自分の部屋に移動し寝間着をベッドへ投げ捨てハンガーにちゃんとかけられた制服に腕を通す。その後洗面所でクロと並んで歯を磨き髪をいつもと同じように結いた。よし、準備完了。
「、早く来ないと置いてくぞー。」
「今行くよ!」
使い慣れた鞄を肩に掛けて、しっかり戸締り出来てるかチェックしてから部屋を飛び出た。空は青々と晴れてて清々しい。今日数学の授業さえ無ければ最高に清々しい。自習にならないかな。
「今日日直じゃなかったっけ?」
「うん、夜久ちゃんと日直。」
「じゃあ数学当たるな、オメデトウ。」
「げ!!クロ、ノート見せて!」
「ダメ、自分でやりなさい。」
「ケチ!私数学苦手なの知ってんでしょ!」
「教えてやるけど見せねーよ、お前見せたら覚えないでしょ。」
「よくご存知で…。」
いいもん夜久ちゃんから見せてもらうし。学校に着くとまだ登校時間には早いのかそんなに人も居なかった。真面目にやってる他の部活の朝練組がちらほら、かな。
「じゃあ私タオル取り込んだりするから。朝練しっかりねー。」
「おう、いつもありがとな。」
「こればっかりは好きでやってるからいいの。」
クロと分かれ私は部室に向かった。外に干しておいたバレー部用のタオルはしっかり乾いてる。これはホントに消費多くて困る。畳むのがめんどくさい。洗濯ハサミを外しては畳みロッカーへと突っ込んでいく。全部しっかり回収仕切り、私は体育館に寄ることもなく教室に向かった。教卓に置かれた日直日誌を勝手に取り自分の席で広げる。今日の授業は…現文、英語、生物、日本史、数学か。数学が昼明けで助かったー。昼ご飯の時に教えてもらお。
そう思って日誌を閉じると不意に鞄の中でスマホが震えた。
「んー?誰だろ。」
スマホを取り出し待受を見てみると1件の通知。……うわぁ赤葦くんからだ!珍しい!書かれた内容はとても短いけれど、赤葦くんから連絡が来ること自体がそもそもレアだ。