第6章 木曜日
「なんの話をしたの?」
「なんやっけな……ああ、森の話を聞かれたんよ」とおらふキノコ人は話し続ける。「森が燃えた時はどんな感じやったん? みたいなこと聞かれて」
「で、おらふさんはなんて答えたの?」
「あっという間に燃えたよって答えたなぁ。僕は冷たいキノコだから火は大丈夫やったんけど、他の仲間たちは大火傷しちゃってて……アレ? そのあと僕、どうしたんやっけ」
「この研究所に保護されたのでは?」
「ああ、そうかもなぁ! でもよく覚えとらんのよな。なんか、記憶が途切れ途切れっていうか……」
「そっか……話してくれてありがとう、おらふさん」
「ええよええよ。お姉さんならなんでも話したくなっちゃうわぁ」それからじっと、おらふキノコ人はその青い瞳を私に向けた。「それと、僕のことはおらふくんって呼んでもええよ? みんなそう呼んでくれるんよ」
「えっと、おらふ……くん?」
「ええね♪ ありがと、お姉さん」
「いえ、どういたしまして……?」
そんな会話を終えて、私はおらふキノコ人の部屋を後にしたのだが。
「キノコ人って人間と違う感覚なのかな……私からしたらちょっと変わってるかも」
くん付けで呼ばれたいキノコ人に、ちょっと新鮮さを感じている私であった。