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こちら、キノコ飼育係[dzl]

第3章 月曜日


「こんにちは、ドズルさん」
 キノコ飼育係初日はドズルと名付けられたキノコ人のところにやって来た。キノコが体中に生えてきている以外はどこを見ても人間で、筋骨隆々のように見えた。そもそも彼を人間と見るのか、キノコと見るべきなのか私は分からない。だからその筋肉に見えるものも、人間と同じ筋肉なのかどうかは怪しかった。
「初めまして、私はサツキ」私は自己紹介を続けた。「今日から、私が貴方のお世話をすることになったの。月曜日には毎週来るから安心してね」
「僕は……」
 喋った。私はびっくりして半歩後ずさったが、ドズルキノコ人はぱちくりと瞬きをしてこちらを見つめ返すばかりだ。人間の心境までは理解し難いところがあるのだろうか。
「何か言いたいことあるかな、ドズルさん」
 私は怖がらせないように膝をついてドズルさんを下から覗き込む。ドズルキノコ人は頭から大きな赤いキノコが生えているけれど、顔からも小さなキノコが今まさに生えてきては、それを邪魔くさそうに手で払い落としていた。
 なるほど、ドズルキノコ人は常に体中からキノコが生えているみたいだ。
 渡された資料にも、最近保護したばかりだから詳細は分からないことが多いというのは確認したばかり。私がドズルキノコ人の特徴をメモしていると、また彼が喋り出した。
「ここはどこなの? 僕たち、五人いたと思うんだけど」
 今度は私が瞬きをする番。あのキノコ人は五体一緒にいたというのか。というか、数字も理解しているとは、かなり知能は高そうだ。
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