第2章 田中サツキとして
「君には、ある特殊なMOBの面倒も見てもらいたくてね」
当時、この研究所の博士をしていた人物から、何体かのMOBの面倒を指示されていた。
私が最初に指示されたMOBはある長生きのストライダーだったが、他にも特殊なMOBの面倒を見ていたのである。
「まずはこちらを見てもらったら早いかね」
と私は、これから見るMOBの詳細が書かれた資料を見て驚いた。
「これって……MOBというより、植物なのでは……」
「ああ、私も最初はそう思ったよ」と博士はどこかへ向かったから私もついて歩いた。「だが、あの窓の向こうにいるMOBを見て欲しい」
そうして博士が目で指す方向には、MOB管理部屋にいる五人の誰か。彼らは一見人間のように見えたが、体のあちこちからキノコが生えている「植物人間」のようなMOBだったのである。
「彼らは……MOBなのですか……?」
私が思わずそう質問をすると、博士はこう返してきた。
「彼らがMOBなのか植物なのか、確かめて欲しいのだ。食事は一週間に一度だけでいいみたいだから、君にはこちらで決めたスケジュール通りに面倒を見てもらうよ」
そうして、私は奇妙なキノコ人間の面倒を見ることになったのである。