第15章 ドズルキノコ目線に戻って
その後、僕たちは前々から決めていた山の中腹に辿り着いた。そこには木と草と花以外何もない森で、人間たちの世界とは大違いで落ち着く気がした。
まず僕が始めたのは歩きやすいように木を伐採するところからだった。僕たちは木を伐採しなくても森の中を過ごせるけど、他にどんなMOBが来るか分からないので、どんなMOBが来てもいいように木をいくつか伐採しなくてはいけなかったのだ。
カズさんは土を耕して平らにしていた。カズさん、あんなに小さいけど結構動けるストライダーなのだ。そばではさんだーが一緒に手伝っている。
ぼんさん、何してるのかなと思ったら、近くにいなくてびっくり。近くで一緒に木を伐採しているおんりーに話を聞いてみると、ぼんさんはすでに困っているMOBを探しにどこかに行ったのだという。まだ全然土地が出来ていないのに、どうしろというんだろうか。
「おらふくん、出来た?」
僕はぼんさんのことはもう諦めて()そこで宣伝ポスターを描いているおらふくんに訊ねてみた。おらふくんは僕が声を掛けると、何か描いていた葉っぱを慌てて背中に隠した。
「え、何描いてたの、おらふくん」
「いや、これは……」
「おーい、おらふくん、サツキに送る手紙は出来たか……ってドズルさん?」
僕の問い掛けにおらふくんがしどろもどろしていたところにMENがやって来た。どうやら二人は、何か隠し事をしていたみたいだ。
「手紙って、どういうこと?」
「ああ……」
僕が問い詰めると、MENは明らかに動揺した。さすがのMENも、誤魔化し切れないのかと思ったが。