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こちら、キノコ飼育係[dzl]

第14章 MENキノコ人目線


 結果的に、俺たちはサツキの家を出た。
 俺たちは人間が使うドアノブの捻り方がどうも出来ないもんで、サツキに見送ってもらいながら、長い長い距離を歩いた。
 サツキは、ついて来なかった。なんでも、やることがあるとかなんとか言っていたが、俺にはどうでもいいことだった。
 人間たちの世界は、サツキと何度も歩いてはいたが見慣れないものばかりだった。黄色いタイルがある歩道にシマシマ模様の車道。点滅する光や物凄いスピードで走る車なんかには、何度轢かれそうになったことか。
 だが、俺にも考えがあった。あの人間たちの車、俺たち用に作れたりしないのか、と。
 そうこうしている内に、カズさんと待ち合わせのところまでやって来た。カズさんは手乗りストライダーだから、飼い主が持つカゴの中にいたが、ドズルさんが来るとすぐ飛び出して肩の上に乗った。
「じゃあ行ってくるな!」
 カズさんはドズルさんの肩の上でそう言った。MOBの言葉は人間には伝わらないらしいが、飼い主はカズさんの言っていることが分かっているみたいで手を振っていた。
「さんだーも行く行く!」
 そして、カズさんと一緒について来たのは手乗りパンダのさかいさんだー。ドズルさんの両肩にカズさんとさかいさんだーが飛び乗った。
「行きますか」
 俺が言うと、そうだねとドズルさんは、カズさんたちの飼い主に、サツキからよく言われた感謝を示す会釈をして歩き始めた。向かうのは人里離れた森の中。人慣れしやすいおらふくんが、カズさんたちの飼い主にいつまでも手を振っていたのが印象的だった。
「そんなに手振ってたら余計寂しくなるじゃん」
「ええ、でも永遠のお別れじゃないんですよ?」
 そんなぼんおらの会話を横に、俺はある一つの思いつきが浮かんでいた。
「人間には、手紙というものを送り合う習慣があるらしいよ」
 と俺が言うと、おらふくんは目を大きく見開いた。
「それってどういうものなん?」
「離れてても連絡する方法だよ」
「僕もやってみたいなぁ」
「じゃあ、早く楽園に着かないとな」
「……?」
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