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こちら、キノコ飼育係[dzl]

第12章 おんりーキノコ目線


 俺たちは研究所から脱出したあと、サツキという家で世話になっていた。
 いつも水を貰うばかりだった毎日が、サツキからいつも、欲しいものはないかと聞かれる毎日に変わった。欲しいものと聞かれても、俺たちには人間の世界にあるものには疎かったし、まさか森が欲しいなんて叶うはずもないし黙っていたけど、そういえばサツキはいつも聞いてばかりだったから、俺が逆に聞いてみることにした。
「サツキは欲しいものはないの?」
 サツキは困った様子だった。サツキは自分で自分の世話が出来るみたいだった。俺たちだって、外に置いておけば水くらいなんとかなったんだけど、キノコ人が街中を歩いていたらまた研究所みたいなところに連れて行かれるかも、とサツキに散々言われていたから、外出は夜の時間だけだった。
「あ、牛乳忘れちゃった」
 ある日、サツキが大きな箱の中を覗き込みながらそんなことを言った。牛乳がなんだったか分からなかったけど、どこに置いたのかと聞くと、買ってこなくちゃいけないと言われた。なら買ってくる、とよく分からずに俺がそう言うと、サツキは考え込んだあと、お使いの練習をしようかと言い出した。
 俺は五人のキノコ人の中でも体から生えているキノコが見えづらいところにあるから、人間っぽく見えるんだそうだ。それを利用してサツキは俺にお使いの練習を教えてくれることになった。四人には家にいてもらって、俺はサツキと一緒に外に出た。夜とは違う景色に少し戸惑った。
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