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こちら、キノコ飼育係[dzl]

第10章 ドズルキノコ人目線


 サツキという人間のおかげで、窮屈な研究所から脱出は成功した。
 だけど今度はサツキの家に閉じ込められることとなった。とはいっても、僕らがいる部屋はいつもドアが開けっ放しで、出入りは出来るんだけど。玄関と呼ばれるところにある扉の開け方までは僕たちキノコ人には難しいみたいで、サツキが何度も教えてくれたが出来なかった。
 だけどそれ以外は自由に過ごすことが出来て、僕が勝手にサツキの部屋にある本を読んでいても怒られなかった。それどころか僕に紙を見せてくれて、本を買ってくれると言ってくれた。本を買うということはよく分からないけど、僕はその紙にある面白そうな本をいくつか選んだ。サツキは何度も頭を上下に振った。人間でいう「分かった」という言葉を動作にしたものらしい。
 他にも、サツキの家には時々小さなMOBを連れているおばあさんが遊びに来ることがあった。おばあさんはよく、絵本の読み聞かせをしてくれる。ぼんさんは途中で寝ていたけど、おらふくんとMENも興味深そうに聞いていた。今度僕に本が来たら、二人にも読んで聞かせようかな。
 その内に、おばあさんが連れている小さなストライダーが僕に話しかけてきた。話を聞いたところ、ストライダーの言い分はこうだ。
「いつか、オラたちMOBが仲良く暮らす世界を作るんだ。お前も一緒にやらないか?」
「それってどういう世界なんですか?」
 僕は気になってストライダーさんに聞いてみた。ストライダーの回答は明白だった。
「楽しい世界だよ!」
「それは……面白そうですね」
「みんな〜、おやつにMOBクッキー用意したよ〜。キノコ人たちも食べられるかな……?」
 ストライダーと僕が会話していると、サツキが僕たちを呼びに来てくれた。MOBクッキーがなんなのか分からなかったけど、寝ているぼんさんを放って置いてサツキについて行くと、人間がよく食べるものにそっくりな茶色く丸いものがテーブルに置いてあった。
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