第17章 結婚式
その後、ご機嫌で再び車を走らせ始めた統也さん。
「あぁ、その・・・すまん。つい、遣り過ぎた。目的地まで寝てていいぞ?」
「そうします・・・。」
目を閉じると、直ぐに吸い込まれる様に意識を手放した。
「可愛いな、俺の嫁は。」
頭を撫で、アクセルを踏み込む。
「・・・ら、桜?」
「ん?統也さん?」
「着いたぞ。」
目的地の水族館に到着していた。この町は温泉街でもあるので、この町で一泊取っている。
先に車を降りた統也さんが、車の前で待っている。慌てて降りては、小走りに走り寄れば手を差し出されたのでそれを握り締めた。
つい、嬉しくて擦り寄ってしまう。そんな私に、小さく笑う彼。でも、満更ではなさそう。
水族館の中に入り、エスカレーターで上がっていく。薄暗い室内でエスカレーターから大きな水槽が覗き込める。大きな魚影が見えて、少し怖い。
そんな事を思っていると、繋いだ手が解かれ腰に腕を回され抱き寄せられた。彼の温もりに包まれて、少し嬉しい。
「やっぱり、俺を見るよな。せめて、水族館くらい魚を見てやれよ?俺のことは、夜に好きなだけ見ていられるだろ?まぁ、そういうのも可愛いけどな。」
何だかんだ言っても、統也さんは私に甘い。
人はそう多くはないものの、決していない訳ではない。でも、うん・・・そういう人たちいるよね。
「羨ましいのか?」
耳元で、統也さんが囁く。私が気になったのは、柱の裏でキスしていたカップル。
「さっき、あんなに可愛がったのに足りなかったか?」
「な、な、何をっ!!?」
「俺には何でも言えよ?羨ましいって思うのなら、幾らでもキスしてやるから。」
「う、羨ましいけど、ここじゃちょっと・・・。」
「ハハ、羨ましいのかよ。ホント、素直だな。まぁ、俺もキスしている桜の可愛い顔は、他の誰にも見せたくはねぇけどな?」
「も、もうっ、揶揄ってます?」
「俺の本心。」
そんな事を言われたら、何も言い返せない。
水族館を見て回り、売店に足を運ぶ。
「そういや、あのマスコットどうしてる?」
「マスコット?って、トーヤさんの?」
「そう、それ。」
「ちゃんと仕舞ってます。今は、本物がいますから。」
「そうか。アレを見た時は、かなり驚かされたな。分かってはいても、本当に俺が好きなんだって。」