第14章 夏 十三日目
家に帰り、昼食はハンバーグにした。付け合わせのサラダやスープは、トーヤさんが準備してくれている。そして、手持無沙汰になったのか、背後から私の腰に腕を回しては手付きを覗き込んでいる。
「サクラ、少しでいいからこっち向け。」
「何っ!?」
触れるだけのキスをしては、直ぐに離れた。
「あ、あの・・・。」
「ん?あ、物足りない?」
目を泳がせた後、素直に頷いた。トーヤさんとのキスは、凄く距離が近く感じられて好きだ。
「素直なサクラに免じて。」
素直になった事を後悔しそうになるほど貪られた唇。
「これで、少しは誤飲が下がった。」
「えっ?どういう事ですか?」
「あの小僧、俺たちの後を尾行していただろ。サクラをずっと視姦していた。」
思わず私は自分の身体を抱き締める。
「サクラは俺のものなのにな。でも、その内俺が報復するから。あの小僧にやられっぱなしってのも癪だからな。」
「危ない事はしないで下さいね?」
「あぁ、問題ない。」
お昼からしっかり食事を取って、再び、夏野菜の収穫を行っていた。
「サクラっ!!」
家から出て来た、トーヤさんに声を掛けられる。
「俺の方も作業が一段落ついたから、そろそろシャワーでも浴びて準備しろよ。」
「はーいっ!!」
最後のメロンを収穫しては、家へと戻っていく。
「随分、デカくなったなぁ。で、それは出荷か?」
「いえ、加工品にします。」
「メロンを加工?」
「果肉たっぷりのアイスクリームです。」
「あぁ、この前食べさせてもらったアレか。」
「はい。トーヤさんが美味しいって言ってくれたんで在庫を追加しようと思っています。」
「嫌、村で待ちわびているヤツらもいるんだから出荷に回せ。って、何でそんな不服そうな顔してんだよ。第一、まだ冷凍庫に食べきれない程在庫があるんだろう?」
トーヤさんに宥め透かされて、出荷へと回すことになった。さて、シャワー浴びて汗を流して・・・。
「サクラ・・・これ、いい色でいい柄の浴衣だな。俺の分まで用意してくれているとは思ってもいなかったが。」
「トーヤさん、自分で着られたんですね。よく似合っていて素敵です。いつも素敵ですけど。」
「サクラも可愛い。よく似合っている。さ、行くか。」
村の広場へと向かえば、あちこちに出店が並んでいた。