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牧場物語へトリップⅡ

第12章 夏 五日目


「もう一つ?まさか・・・。」
「はい、そのまさかです。同じ中身がもう一つありますし、他のものも大量にありますから。」
「そ、そうか。サクラがそういうのなら。サクラの善意に感謝しろよ?」
「ど、どうして俺に・・・まさか、俺のことを思って?」
「トーヤさんに、争って欲しくないからです。でも、二度目はありませんからね?」

しっかりと、釘をさしておく。それに、余計な解釈されても困るものね。

帰りの馬車には、あの告白男はいなかった。代わりに、ドーエンさんが乗り合わせていた。

「災難だったな、サクラ。それに、トーヤも。」
「いえ、終わった事ですから。」
「そうか。アイツ、随分前からサクラに恋慕していたからなぁ。サクラには思いを寄せる相手がいることは大抵のヤツは知っていたんだが、アイツは最後まで認めなかった。ま、これで馬鹿なことはもうしないだろ。」
「次、同じ事をしたらどうしますか?」
「そうなる前に、お前らが結婚でもすればいいだろ。」

結婚でもって・・・。

「トーヤの為にも、その方がいい。まだ、そういう話しは出てないのか?」
「いえ、プロポーズはしましたし受けてくれています。俺がその為の指輪を作っている最中でして。」
「そうか。俺も人伝にトーヤの仕事の事は聞いている。良かったな、サクラ。」
「はいっ!!」
「町で賞を取った宝飾職人渾身の指輪か。材料はサクラが提供したんだろ?下世話な話しになるが、値段を付けるとすればかなりのものになるんだろうな。」

ん?かなりの値段?

「えっと・・・トーヤさん、そうなんですか?」
「サクラは、ただ楽しみにしていればいい。」
「で、でも・・・。」
「いいじゃねぇか。未来の旦那に甘えればいい。それとだが・・・。お前ら、行く時もそんなにべったりくっついていたのか?」
「えぇ、そうですね。それでも、何処ぞの馬鹿はあんな事を仕出かしましたが。」

トーヤさんが笑顔で容赦ないことを言っている。

「俺からも、もう一度言っておく。」

溜息交じりのドーエンさん。私は苦笑いしか出来ない。

「俺は少し疲れた。休ませて貰おう。」
「サクラも疲れただろ?少し休め。」
「はい。トーヤさんも休んでくださいね?」
「あぁ。」

二人寄り添いながら、目を閉じた。が、この後、もうひと騒動起こる。

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