第11章 夏 一日目
「また、俺で暖を取ろうとしているのか?それなら、シャワーでも浴びて来たらどうだ。少しは・・・サクラ?」
「・・・ム。」
「ム?」
「こ、こういうのを、ムラムラするって言うのですか?」
「ハッ?えっ?サクラ、何言って・・・。」
「だって、仕方ないじゃないですか。もっと、トーヤさんが欲しいって思ってしまったんです。」
彼は私の腕を解き私の真意を探ろうとするかの様に、目を覗き込んできた。温かい手が、私の頬に触れる。
「・・・こういう時でも、そのキラキラした目で俺を見るんだな。なら、俺は我慢しない。」
寝室に連れ込まれ、水着は簡単に脱がされ彼の体温に全身包まれた。貪る様にキスをされ、唇が離れると私は目を開いた。直ぐ傍にある、彼の熱の籠った眼差しと視線が交わる。
「本当は、もう少し先にって考えていたんだけどな。」
「えっ?」
「あ、嫌だとかそういうんじゃない。前に言っただろ?サクラの為に渾身の指輪作っている最中なんだ。それが出来たら、プロポーズするつもりだった。出会って間がないとかそんなのどうでもいいと思っていたし、きっと俺にとってサクラしか信用も信頼も愛することも出来ない。だから、先に言葉だけ・・・俺と結婚してくれ。一生大事にする。」
「はい。私も、トーヤさんを大事にします。」
「サクラの目は、いつも真っすぐで綺麗だな。じゃあ・・・俺に全部委ねてくれ。」
知識としては知っていたものの、そんな知識など比べ物にならないほどに幸福しか感じない時間となった。痛みですら、幸せだと思えるほどに。
汗だくの彼が、無造作に髪を掻き揚げる。そんな姿も色気があって大好きだ。
「ホント・・・サクラは俺のことが好きだよな。ちょっと汗でべたべたするからシャワーでも浴びるか。俺に捕まれ。」
抱き上げられ、一緒にシャワーを浴びることになった、恥ずかしさなんか、今はどうでもいい。彼と少しも離れたくない。
「俺に甘えてんのか?可愛いな。ホラ、顔見せろ。キス出来ないだろ?」
私の背を撫で、キスを強請る彼。抱き合い彼からの熱を甘受した。そして、シャワーを浴びた後は夕食の用意。
「腹減った・・・。今なら三人前くらい食べられそうだ。」
「川遊びしましたものね。」
「ん?そうじゃない。あんなドロドロのSEXしたからに決まってんだろ?」