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牧場物語へトリップⅡ

第9章 春 二十五日目


「材料、ウチのですから作れますよ?」
「でも、これってイベントの為だから採算度返しなんだろ?」
「そうですけど、こういうことも含めて生産者の特権ですから。」
「そういうものなのか。ただ・・・。」
「ただ?」
「別の店で買ったこの果実水、ウチで飲んだ方が美味いな。」

そりゃあ、最高品質の果物で作った果実水だもの。でも、だからって驕ったりはしないけど。

「これも十分美味しいですよ。あ、そろそろイベント始まるみたいですね。行きましょう?」

舞台には、住人が五人並んでいる。農家の住人や花屋を営む住人、工芸品を営む住人などが参加していた。今回のお題はフルコース。あちこちから、いい匂いが立ち込めて来る。

「サクラは参加しなくて良かったのか?」
「言ってませんでした?三回優勝すると、殿堂入りとなって参加出来なくなるんです。」
「サクラ、殿堂入りしたのか?」
「はい。」
「道理でサクラの作る飯が美味いはずだ。」

今回の優勝は、工芸品を営む住人だった。懐かしいなぁなんて思いながら。舞台上で喜ぶ住人を見ていた。

「あれ~?イベントに来てたんだ。どう?この後一緒に回らない?そんなおっさんより、俺みたいな若くてイケメンの方がいいだろう?」
「貴方の目は節穴ですか?」
「えっ?」
「こんな素敵な人とデート中なんですよ?それなのに、どうして他の誰かと回らないといけないんですか。」
「えっと・・・キミって、おっさんがいいの?」
「私の好きな人を侮辱しないで!!」
「あ~、落ち着け。俺はこんな小童が言うことなんか気にしていないから。」
「トーヤさん、器が大きくて本当に素敵です。大好きです!!」
「悪いな、この通り俺の彼女は俺にべた惚れなんだ。」

昨日、トーヤさんを不機嫌にした観光客は、舌打ちしてはいなくなった。

「トーヤさん、そろそろ採掘に行きませんか?」
「えっ、忘れていなかったのか。」
「忘れませんよ。とても大事な事ですから。」
「大事か・・・。理由を知っているからちょっと複雑。」

苦笑いしながらも一度帰宅して着替えては、洞窟へと来ました。洞窟内には、私の原石を採掘する音が響いています。

「絶好調です。」
「そ、そうだな・・・。」
「あ、また賢者の石が採れました。やっぱり、来て良かったですね。」
「あ~、うん、そうだな。」
「よし、これで最後っ!!」
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