第9章 春 二十五日目
本日の成果
賢者の石二個、ダイヤモンド三個、ルビー二個、エメラルド二個、オリハルコン三個、プラチナ三個、翡翠五個、水晶二個、金三個、サファイア三個
である。
「俺・・・サクラに一生頭が上がらない気がする。って、ちょっと待て。何故、全て俺に渡そうとするんだ。」
「えっ?」
「えっ、じゃないし。何を当たり前なことをって顔をするんじゃない。俺はサクラのヒモになる気はないからな?だから、全部俺に寄越そうとするな。」
「じゃあ、定価の一割で買い取ってくれますか?」
「頼むから、俺を甘やかそうとするな。定価で買い取るが、全部ってのは遣り過ぎだ。だから、そんなことないのにって顔をするな。」
「じゃあ、二割?」
「そういうことを言っているんじゃない。な、何でそんな泣きそうな顔するんだ。俺の方が泣きたい。と、兎に角、ストーンにも卸してやってくれ。」
「トーヤさんがそういうなら・・・。」
渋々とストーンさん用に用意したのは、数種類を一個ずつ。盛大に溜息を吐かれたし、定価で買い取ってくれたけど最後まで私の言い分は聞いてはくれなかった。
「なぁ・・・一つ聞きたいんだが、月末の収穫イベントも殿堂入りとかあるのか?」
「あ~、アハハ・・・。」
「嫌、もういい。今ので理解した。これじゃ、周りから金の卵に惚れられたって言われても仕方ないな。うん、甘んじてその言葉は受け入れよう。だが、俺は惚れた女は俺が養うつもりだ。協力はしてもらうが、一方的に甘やかされるのはごめんだからな。だから・・・そんな目で見るな。俺だって男としての吟じは持ち合わせているんだからな。」
トーヤさんは色々と言っているけれど、私は精一杯協力するつもりでいる。
「だから、そんな陰で色々やれば大丈夫って顔をするな。」
「ど、どうしてわかるんですか。」
「顔に出てる。ハァッ・・・俺、ヒモだと勘違いされない様に尽力しよう。明日からバリバリ働かないと。材料はお陰で潤っているし、ってまだ寄越そうとするな。俺の言い分が聞けないなら、採掘は行かせないからな?って、どうしてそこで泣きそうな顔するんだ。」
トーヤさんに宥め透かされて、嫌われたくないので渋々だけど了承した。採掘は止めるつもりはないし、協力を惜しむつもりはないけれどね。