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牧場物語へトリップⅡ

第1章 牧場物語の世界へ


「あの・・・今、何って仰いました?」
「察しの悪いヤツだな。この俺が、出来の悪いお前と付き合ってやってもいいと言っているんだ。何やら、ゲーム?そんな作りものにハマるより、生身の人間にハマった方が身のためだぞ?だから、面倒見のいい俺が一肌脱いでやるって言ってんだ。有難く思えよ。」
「お断りします。」

私は間髪開けずにお断りの返事を口にしていた。誰が好き好んで、こんな意地悪な人と付き合わないといけないんだ。それも、有難く思え?ふざけるな!!私がゲームのキャラが好きだからって、誰に迷惑を掛けたって言うんだ。

「お、お前・・・俺の誘いを断るって言うのか?随分、生意気なヤツだな。いいだろう、これからもっとビシバシ扱いてやるから覚悟していろよ。泣いて止めて下さいって言っても止めてやらないからな!!」

怒って先に部屋に戻って行った先輩。とうとう反論してしまった。今までそれなりにスルーして来たって言うのに。それに、普段からあんな意地悪しておいてどうして私が付き合うなんて返事をすると思っているのか疑問でしかない。

少し頭を冷やしてから部屋に戻ると、あの先輩の独壇場となっていた。同僚の一人が、私に尋ねて来た。

「え、江口さん・・・しつこく付き合ってって言ったのってホント?」
「前から、こいつに言い寄られていたんだ。本当に迷惑していたんだよ。何で、俺が好みでもないお前なんかと付き合うかってんだ。」

呆然とする私に反して、この人は好き勝手言っている。普段、私への当たりがキツイこの人の理由が、私が言い寄っていることへの弊害だと思う人も出て来たらしい。数人から、冷たい目を向けられていた。

「世の中には・・・証拠ってとても大事だと思うんです。これ、何だと思います?」
「何だよ、ただのスマホだろ?酔っぱらっておかしくなったのか?」

私は最大音量で、この人が私に言った言葉を披露してあげた。普段から何かの為にと、この人の悪態を録音していたんだ。友人に助言されてから、こういう時の為に行動を起こしていた。

「ろ、録音だなんて卑怯だぞ。性格が悪すぎるだろ。」
「嘘を並べてフラれた相手に苦痛を与えようとする人は、卑怯ではないのですか?」

上司が手を叩き、その場は収まり解散となった。

一人の帰り道、歩道橋を上がったところで、あの人が追い掛けて来た。物凄い顔の形相である。

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