第4章 春 五日目
一時間後。私は、唸っていた。
「う~ん・・・これって、どうなんだろう?」
今日の成果。
ダイヤモンド三個。サファイア二個。めのう一個。トパーズ二個。エメラルド三個。水晶一個。金が三個。プラチナ三個。そして、破格の賢者の石が二個である。
「賢者の石の在庫が出来たのは嬉しいけど、何かニルさんたちに申し訳ない気がしてきた。」
袋に詰めては、洞窟を出た私。
「おおうっ、雨が止んでる。あ、虹だ。お祈りしとこう。女神様、今日もありがとう。」
今日は原石の中から幾つか出荷することにした。推しが引っ越して来たら、何か作ってもらおうかな。そう言えば、雑貨屋で以前購入したブレスレットがあるんだよね。細工も綺麗でオシャレで気に入ったアイテムの一つだ。そして、明日の為のメモの確認も忘れない。
そうだ、今日は紫陽花亭にご飯食べに行ってみようかな。手土産にワインでも持って行こう。コックのドーエンさんと息子のローエンさんは揃ってお酒好きだったもの。
今日も先に入浴を済ませてから、ワンピースに着替えてストールを羽織った。ちょっぴりのおシャレをしては、自家製ワインを持って店へと向かった。
店内では、攻略キャラの二人が同じテーブルで食事をしていた。因みに、紫陽花亭の息子であるローエンも攻略キャラの一人だ。
「こんばんは。ドーエンさん、ローエンさん。ご飯食べに来ました。それと、これ自家製のワインです。良かったらどうぞ。」
「いつもすまんなぁ。ありがたく貰っとく。代わりに今日のメニューは大盛りにするから楽しみにしてくれ。」
「やったぁっ!!じゃあ、何にしようかな。あ、ビーフシチューセットにします。」
そんなやりとりをしていると、攻略キャラの二人が声を掛けて来た。郵便屋のフルーさんと女医のノアさんだ。
「え、でも・・・デートだったんじゃ?お邪魔したら悪いですし。」
「そんなんじゃないですよ。僕が食事に来たら、もう出来上がっているノアさんに絡まれて一緒に食事することになっただけですから。」
確かに、ノアさんの顔はほんのり赤い。
「サクラ、遠慮なんかしないの。いいから、ここに座って。お姉さんの言うことは聞いておいた方がいいのよ?」
「それじゃ、お邪魔します。」
二人の間に座って、料理を待つ。
「ノアさん、そのお酒何杯目ですか?」
純粋な質問だった。