第7章 7.王子様の告白
気持ちを真っすぐにぶつけてくれた徹に、ちゃんと向き合うべきだとは思うけど、何で私なんだろう。私は徹と釣り合うようなキラキラな女の子ではない。最近まで不貞腐れていた奴だ。だけど、ありがたいことだと思う。
徹のおかげでバレーが好きだと気がつけたし、将来の夢を一番に語った相手が徹なのは、それなりに徹の存在が私には大きいからだ。
「単糸、線を成らず……」
「ん?」
私がポツリと呟くと徹が反応した。
「人間、一人では何もできないってことか」
「うん。自分のこれまでのことを考えたら、みんなに感謝だなって」
「みんな、好きなことをやってるが好きなんだよ。もちろん俺もね」
徹はもう一度ボールを手に取った。
「んじゃ、みんなのためにも、バレーもリハビリしよう。次はサーブしてみて!」
徹の指導は続く。小学生用のボールはよく跳ねるしよく飛ぶ。コントロールをミスしたら、すぐにどこかに飛んで行ってしまう。ボールを落としたら終わり。だから慎重に、丁寧に、今はバレーに集中した。