第10章 10.彩雲の糸
「単糸、線を成らず」
ケガをしてプツンと切れた糸。バレーを嫌いになれず、澤村たちから与えられて掴んだ糸。私が紡ぐ糸は無数に広がっている。だけど、これから私たちの歩む道は彩雲のごとく七色に光り輝く糸に見えたんだ。
そんな糸たちを紡いで織りなして生地になるように。徹との航海に張れる大きな帆となるように。
「強い奴全員を倒せるくらい強いセッターになるように」
「ケガをした人を救えるように。徹もバレーも支えて一緒に戦えるように」
そう彩雲の空に私たちは誓った。願わくば、彩雲をアルゼンチンにまで届けて欲しい。
私は、天にいるであろうバレーボールの神様にそっとお願いした。