第1章 1.夢の終わり
病室ではずっと泣いていた。これまで頑張ってきた練習を全て棒に振ったこと、自分の愚かさで周りに迷惑をかけたこと、全部が情けなくて、惨めだった。
たくさんの人からメッセージをもらっていたけど、とてもじゃないけどすぐに返信する気にはなれず、返信をしたのは退院してからだった。それでも、セッターの子だけにはすぐに返した。責任を感じて欲しくなかったから。
「あの時、私がボールに夢中になりすぎていたし、そして汗で床が滑っただけだよ。冷静だったら防げた事故だから。だから、セッターのせいじゃないから、気にしないで! 試合、私の分も頑張ってね!」
その後、私の応援も虚しく、北川第一は男女とも敗れたことを自宅で知った。私は自宅でそのまま何もせずに引退となり、土俵にも上がらずに負けたのだった。
ベッドの上でいろんなことを考えた。
小学校からスポーツ少年団で頑張ってたのになぁ。
お父さんもお母さんも応援してくれたのになぁ。
徹や飛雄みたいになりたかったのになぁ。自分のせいで試合にも出られなかった。
何だったんだろう、私の3年間。バカじゃないの……。
一生懸命、大切に持っていた最後の糸がプツンと切れた音がした。
大切にしたかった糸だったけど、ひとりでに切れてしまった。
……バレー、辞めよう。
私が自動的に引退をした翌日、徹が家に来た。全然会いたくなかったし、どんな顔をすればいいのかも分からなかった。
徹はプリントや私が休んだ間の分のノートを持って来てくれた。だからちゃんとお礼を言わないとならないし、家に上げざるを得なかった。母が私の部屋に徹を通した。
「ノートとか、ありがとう! 試合、残念だったね」
「うん、ありがとう」
「徹は引退は来年? 県民体育大会までやるの?」
「うん、そのつもり」
母がアイスティーを持って来てくれた。ありがとうございます、と徹が受け取った。
「はしばらくリハビリだよね……。バレー、どうするの?」
「あぁ、辞めることにした」
「え?」
徹と母が同時に声を発した。