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彩雲の糸

第3章 3.再会


 帰りの支度をしているとき、徹に話しかけられた。
「ねぇ、どういう経緯でマネやってるのか、今度教えてよ」
「あ、うん。今日はまた戻って練習だから、また今度ね」
「絶対だよ? 楽しみにしてる」
 キラキラな笑顔を見せる徹。久しぶりに笑顔を向けられて、心がざわつく。
「あ、捻挫で試合に出てなかったんでしょ? お大事にね」
 私は、間近で見る徹にちょっと見とれてしまい、思わず話題を逸らした。見上げるくらいに背が高くなっているし、おまけにその顔だ。女の子たちがキャーキャー言うのも分かる。
「うん、すぐ直るよ。大丈夫」
「小さなケガも侮らないこと!」
「はーい」と、徹はへらっと笑った。
 
「さん。荷物、持ちます」
「飛雄。ありがと」
 徹と話していると、飛雄が背後から私の荷物を持ってくれた。それから、徹にペコリと頭を下げ「行きますよ」と、私を若干強引に連れて体育館の出口へ向かう。

「ふーん」
 徹はニッコリと笑っていた。


 翌週の月曜日。早めに部活が終わったこの日、私は徹と会うことになった。久しぶりにメッセージのやり取りをして会う日にちを決めた。
 中学は同じということもあり、比較的家は近い。なので、家の近所の大通り沿いにあるカフェに行こうという話をしていた。それなのに。
「……あれは、きっと徹だ」
 校門がやけに女の子の声で騒がしい。私は遠巻きにそっと様子を見た。
「あ、―!」
 徹がすぐに私を見つけ、ブンブンと手を振っている。白いブレザーに映えるキラッキラの笑顔で。
 当然、私に注目が集まり、私は耳まで真っ赤になった。
「ち、ち違うから! 違う!」
 そう言いながら、そそくさと校門を駆け抜けた。

「……待ち伏せってひどくない? カフェで待ち合わせって言ったよね? 目立つんだからやめてよね?」
「だって烏野高校、見てみたかったんだもん」
 徹はケラケラと笑っている。私はむすっとしながら注文したパフェを口に運んだが、それがとても美味しくて、思わず顔がほころんだ。
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