第3章 3.再会
「、影山とは知り合いか?」
澤村が会話に加わって来た。「すごい1年生」というのは、飛雄のことで間違いないだろう。
「うん。小学生のときから。まさか烏野とは……」
「今年はもしかしたらはいい所まで行けるかもしれないな。彼のセッター、去年の試合を観たけど精密さがすごかった」
正セッターの菅原がそう言った。だけど、飛雄は正セッターの座を奪いかねない実力者に違いない。
「驚異の1年生だな……」
私はなぜか、中学時代、セッターをしていた徹のことを思い出してしまった。
「どう? 日向くんと仲良くなれそう?」
「分かりません。でも勝ちます」
部活が終わり、校門で待っていてくれた飛雄と一緒に帰ることになった。飛雄は、日向くんとしっかり仲間として連携し、後日行われる練習試合に勝たなくては入部できないと澤村に厳しく言われたそうだ。
バレー部は何かと教頭先生と縁がある。これ以上目を付けられるわけにはいかないから、穏便に解決して欲しいところだ。
「もうすぐ桜、咲きそうだねー」と、たわいない話をしながら、私は自分の経緯を話すタイミングを見計らっていた。しかし、先に口を開いたのは飛雄だった。
「さん、バレーを辞めたと聞いてました。だけど、マネージャーになったんですね」
「あ……」
少なからず、飛雄は私の技術を褒めてくれたことがあるし、こんな私をかつては尊敬してくれていたのは知っていた。バレーを辞めた私は、そんな彼の期待を裏切ったような気がして、すこし胸が痛んだ。
「なんか、よかったです。まだバレーに関わっていたんですね」
私は予想していなかった反応に驚き、飛雄を見上げた。
よく見ると、飛雄はうんと背が高くなっていることに気が付いた。中1のときは可愛かったんだけど。今はもうすっかり男の子だ。ちょっと目つきが怒っているように見えるけど、前からそうなんだっけ……と、ぐるぐると思考を巡らせる。
「私はバレーを諦めて逃げてたんだけどね。でも今の3年生たちが当時必死に説得してくれて、背中を押されただけ。今も、バレーをプレーすることは出来ないけど、こうして関わらせてもらえて、感謝してる」