第3章 3.再会
マネージャーとして男子バレー部に入部して9か月が経ち、あっという間に3年生になった。
その間、バレー部はそれなりにいろんな出来事がった。烏養監督の練習の厳しさに音を上げて当時の1年生たちが辞めたり、一時的に逃げ出したり。そんな烏養監督が病気になり引退。監督不在となり、澤村が監督の代わりを務めたりと、志を高く持っていても、なかなか環境がそれを許してくれない、そんな感じだった。
先日は2年生の西谷と、他校との試合で心を折られた旭が対立して、西谷は部活停止処分、旭は部活に来なくなったところだ。この部はほんと、次々と事件が起こるものだ。
「なんか、上手くいかないね……」
潔子ちゃんとため息をつきながら備品の整理をしていた。同級生たちのことは呼び捨てだったり名前で呼べるくらいには仲が良くなっていた。東峰のことは、旭のほうが言いやすいので名前呼びに変えてみた。
「でも今年は何やらすごい1年生が入ってくるらしいよ」
「え? 誰だろ?」
「明日には来るかもね」
どんな有名選手なのか、それなりに宮城のバレー事情に詳しかったはずなのに、すっかり疎くなってしまっていた私には想像も出来なかった。
「え」
翌日、体育館から締め出されている男の子を見て固まった。
「さん!?」
「と、と、飛雄……」
驚きのあまり、どもってしまった。なぜ烏野にいるのだろうか。
「お久しぶりです。烏野だったんですね」
「あ、うん。男子バレー部のマネージャー、やってる……」
「え……」
「マネージャーさんですか? ちわっす!」
もう一人の体育館から締め出されていたオレンジ色の髪の毛をした男の子が一生懸命大きな声を出して挨拶をしてくれた。
「こんにちは。どうして2人はここに?」
「、ちょっと」
体育館のドアが開き、菅原が私を手招きする。何かワケありなのだろう。
「あ。飛雄、また後で」
「はい」
飛雄には聞きたいことがたくさんあった。彼は白鳥沢か、良くて青葉城西を選ぶ、いや、選ばれるものだと思っていた。
「なるほど。あの2人がいがみ合っていて、なんやかんやで教頭のズラが飛んだのね」
「飛躍しすぎだけど、だいたいそう」
菅原に状況を聞いた。あの2人は去年の中総体で1度対戦したことがあるらしい。そして、偶然にも烏野で再開して、いきなりいがみ合っていたらしい。