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彩雲の糸

第2章 2.一歩目


 翌日、私を祝福するかのような快晴の日。早速入部届けを持って体育館へと向かった。
「マネージャーとして入部しました、 です。よろしくお願いいたします」
「さーーん! 可愛いっす! 素敵っす!」
 部員たちが歓迎してくれる。特に熱烈に歓迎してくれたのは1年生2人だった。

 機材や備品の置き場所を教えてもらいながら、清水さんと談笑する。
「私も、中学までは陸上をしていたの。だけどケガをして辞めた身なんだ」
「そうだったんだ……。一緒だね」
 清水さんはクールビューティー。つい見入ってしまう美貌だった。もしかしたら夏の今でも穿いているタイツはケガを隠しているのかもしれない。
「私は何となく誘われてマネージャーを始めたんだけど、今はそれなりに楽しくやっているよ。澤村たち、一生懸命でしょ? だから、私も力になろうと思ったの」
「そうだね。澤村くんたち2年生が一番気合入ってるのが分かるよ。マネージャーの仕事、早く覚えるね」
 

 あの時切れた糸とは別の糸が天から降って来て、私は澤村くんたちに掴まされた。違う形だけど、バレーに関わることを決められた。
 それでも、まだ自分がプレーをするイメージは湧かなかった。先日のボール出しで精一杯だった私は、そのくらい色々と傷ついていたんだと思う。
 頑張ったら、もしかしたら何か変わるのだろうか。とにかく、与えられた環境を精一杯やってみよう。
 今日もバレー部は烏養監督のスパルタ指導が続いている。窓からは風が爽やかに吹く。肌に感じた風が気持ちいな、と思えたのは久しぶりだった。
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