第4章 VI * アルミン・アルレルト
『こちらはストロングゼロです』
缶チューハイをテーブルに置き人数分のグラスに注ぐ。
『こちらもどうぞ』
おつまみにはお買い得の大容量チーズ鱈とじゃがりこを開ける。
いささか緊張をしていたもお酒が入りすっかり気は抜けていた。
その様子に警戒していたリヴァイですら毒気を抜かれていた。
信じ難い話ですらも、明らかに文明の違う私物や、話の内容から納得せざるを得なかったようで。
なによりお酒も入りへらりと笑うの無害性も認められた。
しかし他に漏れては面倒事になるのは分かりきっている。
数日の軟禁生活を経て、の身柄は調査兵団へ置くことに決まった。
しかし読み書きすらできないが出来ることと言えば…掃除くらいしかなかった。
主にハンジの部屋の掃除がの担当となった。
そしての住む世界の話に興味津々のハンジと、ハンジの部屋に頻繁に足を運ぶようになったアルミンがいた。
の私生活の何気ない話ですら、彼らにとっては未知の文明の夢物語に聞こえる。
『私の暮らす世界の、私の暮らした国では四季というものがあってね』
その日は日本の四季について話を聞かせていた。
『春夏秋冬といって4つの季節に分けられるの。風物詩として、春は桜という桃色の美しい花を咲かせる木、夏には海と
「…海」
海という単語にアルミンは目を輝かせ呟いた。
「海には…取り切れないほどの塩があるの?」
『うん、あるよ』
「海をね、本で見たんだ!」
『私達は地球という球体の世界に住んでてね、その7割ほどが海なの』
しかし比較対象がなければ7割と聞いてもいまいちピンとくるものがなかった。
「地球の大きさはどれくらいなんだい?」
ハンジは疑問をぶつけていた。
『地球一周は約4万km』
「4万kmの7割か!」
「ほぼ海ですね」
『うん、そうなの』
アルミンはいまだ本でしか見たことのない海に思いを馳せる。