第4章 VI * アルミン・アルレルト
この世界での生活も1月半が経過していた。
兵団内の空気が、ここのところ少し変化している事に気が付いた。
そして家庭教師はしばらくお休みだとアルミンに告げられた。
は変わらずハンジの研究室の掃除に向うと、慌ただしく動くハンジとモブリットの姿があった。
「壁外調査が決まってね!」
壁外調査とは何だろうと思うも、壁外の壁はおそらくあの聳え立つ壁を指していて、その外へ向かうと言う事だと察した。
が保護された時も、壁外調査だったと聞かされた。
しばらくの間は掃除もお休みだとハンジから告げらる。
はやる事がなくなってしまった。
大人しく自室に戻ると読みかけの本を手に取る。
しかし集中力は霧散していて、壁の外にいた人の形を模した謎の生き物を思い出していた。
彼らは壁の外で何をしているのだろう、あの謎の生き物と戦うのだろうか。
本を机に置いて蝋燭の火を消し、窓辺に腰を掛けた。
この世界での生活もすっかり慣れ始めたのに、壁外調査という言葉に不安を煽られていた。
窓から見える月は、元の世界と遜色なくて、なぜか無性に懐かしさがこみ上げてしまう。
あの平和な世界に、戻れるのだろうか。
戻ったとして、自身は生きているのだろうか。
答えの出ない自問自答に、はうずくまって、膝を抱えた。