第2章 Ⅱ*リヴァイ・アッカーマン
狙いを定めて、一斉に飛び立つ。
『エルヴィン、先に行かせて』
自由奔放でも、隊列を乱したことはないが、返事も聞かず飛び出して行った。
ここは巨人に喰われる心配もない壁の中、思うままにガスを噴射させる。
小柄な男を追って数分。
その技術は、並大抵で手に入るものではない。
ガスの使い方から俊敏に立ち回る様、何より地形を活かした瞬時の判断も素晴らしいと関心した。
男が狭いトンネル状の穴に身体を滑り込ませると、はその建物の壁を思い切り蹴りあげながら先回りをする。
男が出てくると同時に、頭上から仕掛けた。
「!?」
男の視線がを捉えると、瞳を潤ませて、口元に弧を描き、頬を紅潮させる妖しく美しい女が目に映った。
『…見ぃつけた』
「な、女!?」
はブレードの背を男の首元へあてると、小柄な男とは思えないほどの力で、小さなナイフで弾かれてしまった。
『ッッ!』
態勢をくずしたまま、立て直す暇もなく、男に胸ぐらを掴まれた。
投げられそうになり、瞬時に男の腕を掴むが、もつれこんだまま小屋の屋根を突き破り共に落下した。
力任せに掴まれた胸ぐらは破れて弾け飛び、の豊満な谷間を露出させていた。
お互いが立ち上がる。
男の目の前に立つの様子が、明らかに"おかしかった"。
口元を描く弧と頬の紅潮に加え、その目は欲情しているように見えていた。
男は思った。
外套に描かれた自由の翼、調査兵団だ。
壁の外で訳の解らない巨人と戦う集団、そんな組織に属するヤツがマトモで在る訳が無いと。
(………変態女か…)