第4章 友達以上。恋人未満(木兎)
カリカリとシャーペンが走る音だけが響く。木兎も、突っかかることなく解けてるみたいで少し安心する。何となく、横顔をじっと眺めてみた。…変な髪型だな。下ろしたらどんな感じだろ。それだけは見たこと無いな。
「…あのー、じっと見過ぎじゃない?どうした?なんか聞きてー事でもあるのか?」
「いや、そのミミズク頭、もし下ろしたらどんな感じなのかなーって。」
「お、キニナル?気になっちゃう??俺のこと!」
「え、いや別にそこまでじゃ…。」
「なんだよノリ悪いなー!というか、結局は誰にコクったわけ?」
「………赤葦、くん。」
「へ…?」
「バレー部の、赤葦くん。」
ピタリと木兎の手が止まった。そりゃそうか…仲いい事も、連絡取ってる事も話さなかったし。
「…なんで赤葦なんだ?いつから?」
「私たちが三年になってからかな。木兎の試合見に行った時知り合ってそっから連絡取ってたの。…赤葦くん、バレーしてる時凄いカッコイイし、普段優しいでしょ?けど、今はバレーに本気だからって断られちゃった。」
「……そうか…。」
あ、思い出したらチョット泣きそう。赤葦くんは優しいから、今迄仕方なく話に付き合ってくれてたのかなぁ。そう思うと悲しくなってきて、俯いた。
不意に、椅子が思いっきり引かれる音が鳴り響く。木兎が立ち上がったらしい。何事かと顔を上げると、大きな手が私の両肩を掴んだ。
「…俺は?」
「え?」
「アイツは確かにトスが上手い!それは認める。スパイカーである俺が一番よぉく分かる!」
「あ…う、うん。それがどうしたの?」
「でも俺は、それを越える。赤葦よりもっと上手い。」
「そんなの知ってるって。」
「だぁあもう、そうじゃなくて!!はさ……なんで俺を男として見てくれないんだよ。」
「木兎……うわっ!」
肩を掴んでいた手が強引に私の体を抱き寄せた。必然的に私の身体は、立ち上がり私より余程背の高い木兎の体にすっぽりと収まる。ええと…これはなんだ?何が起きてるんだ?
「俺が一番近くでずーーーーっとの事見てきたのになんでよりによって赤葦…。」
「見、てきた?」
「そうだよ!それなのになんで気づかねーの!?お前鈍くない!?」
「失礼ね!」