第4章 友達以上。恋人未満(木兎)
「事実だろ!」
頭の中で、少しずつ整理する。私は、この三年間ずっと木兎は仲がいい男友達だと思って接して来た。けれど彼はそうは思ってなくて、私を女の子として…恋愛の対象として、見てた?
理解が追い付いてくるのと頬に熱が集まるのは、ほぼ同時だった。考えたことも無かったもの。木兎が、私の事が好きで隣に居たなんて。なによりこのバレー馬鹿が、女の子を好きになると思っていなかった。
「ぼ…木兎。」
「俺じゃあダメか?お前を泣かせる事は……まぁチョットはあるかもしんねーけど!俺だってには優しくしてるし、今まで大切にしてきたつもりだ。」
「ごめん…。」
「………エッ!?…お、俺フられた……?」
ガンッ、と効果音つきそうな程驚いた顔を見せる木兎、その表情が見たことも無い位悲しそうに歪み、私は慌ててその広い背中を抱き締めた。凄く、暖かくて安心する。
「そうじゃなくて、木兎の気も知らないで恋愛相談とかいっぱいしてごめん。」
「あ、そっち!?…イイよ、俺はそれでもお前と話したかったし。」
「…意外としおらしいこと言うのね。」
「う…うるせーな!!俺はバレー意外はさっぱりなんだよ!勉強も、こーゆーのも!!」
「木兎らしい。」
「あーもーそういう事言わない!俺だって頑張ってたの!寧ろ褒めなさいよ!!」
「ハイハイ、よく出来たね。」
片腕を背中から頭に回しつんつんに立った髪を撫でてやると、木兎は少しだけ照れ臭そうにはにかんだ。しかしそれも束の間で、ぱっちりとした金色の瞳がバレーをしている時みたいに真剣なものに変わり、私の瞳を捉える。獲物を目にした猛禽類みたいに鋭くて、その表情はちょっとカッコイイなんて思ったりもする。