第4章 友達以上。恋人未満(木兎)
「木兎ぉお!」
「ヘイヘイ今日はどうしたー?。」
「フラれた…。」
「また?」
「またとか言うなよバカ!」
「いって、叩くなって!」
テスト前の部活休み期間。放課後私は同じクラスの木兎に勉強を教える約束をしていたがそれをわざわざ少々遅らせてまで行きたかった用事、告白。そして、玉砕。教室に戻り、待っていた木兎に泣きつきついでに八つ当たり。
木兎とは高校入って知り合ったが、席が近くやけにウマが合う上に3年間同じクラスという事が相まって男友達の中では一番、仲がいい。フられたり何か悩む度、コイツに相談してる気がする。
「お前さー、彼氏欲しさに適当に告白すんの辞めれば?」
「適当に告白なんてして無いよ!何度も話した事あったし、いけると思ったんだけどなぁ。」
「……ふーん。それより英語教えてくれ!マジでさっぱりわかんねー!」
「ハイハイ、じゃあ試験範囲で出そうなとこ教えるからワーク出して。」
「サンキュー!助かるぜ!!」
図書室に行ってもコイツは間違いなく騒ぐ。だから、行けない。テスト勉強に限り教室は開放されているからこの一週間私達はそこで勉強をしていた。席をくっつけ私は復習をしつつ、木兎が躓く度わからない場所を懇切丁寧に教える。
「ほらそこはこっちの文法使うんだって。」
「えー…?あー…あー!!コッチか!」
「そうそう。」
「お前の説明はホントわかり易いよなー!」
「ありがたいけど授業は聞きなよ。」
「う゛っ…だって、結局試験前にはが教えてくれるだろ?」
「もうお互い大学行くんだからしっかりしなさいって!」
「あぁ…大学な…。」
急に口を噤んだ木兎。そう、私達3年はもう夏を迎える手前の今、まともに授業を受けるのもこれが殆ど最後になる。これからは自分の行きたい大学に向けて、それぞれの目指す道へ1歩先へと進まなければならないから。
「お前大学決まってんの?」
「うん、教師になりたいから。」
「うはー、ピッタリだな。」
「木兎は?」
「俺はそんな事より、春高だ!!」
「勉強もしなよ…?」
「わ…分かってるよ…。」
梟谷の男バレは凄い強い。その中でもコイツは全国の5本の指に入るらしいから驚く。こんなに馬鹿なのに。バレーになると目が輝くんだから。