第43章 おまけ
それから数日後。
あんなに散らかっていた時計塔もだいぶ片付き、時計も正確な時間を示して動き始めた頃、正面出入口から大声をあげて入ってきた男の人がいた。
「おいユメト、どこだ!」
「あ、この前話してたクレーマーってやつ? ちょっと待っててな……おーい、ユメト〜、お客さんだぞー」
「ボクがクレーマーだと? ああ、そうさ! ユメト、君に文句がある!」
「ご、ごめんなさい、今行きます……って、ハルトくん?」
「ハルトって誰だよ?」
「天才ピアニストだよ。今世界中を飛び回っていて……」
「天才なものか! まさか君は、あの時のコンクールの話を忘れたというのか?」
「平然とした顔で優勝した癖に!」
「ああ……そんなこともあったね」
「でも僕はもうピアノはやめたから……」
「やめるなんて卑怯だぞ! どんなにボクが天才と呼ばれても、君にだけは越えられないのが許せないんだ!」
「さぁ、今すぐ僕と対決を……」
「だったらさ、ハルトくん」
「なんだ」
「ここでピアノ演奏をしようよ。どこかにピアノがあるはずなんだ。みんなを集めてさ、きっと楽しいよ」
「楽しいものか! これは勝負なんだぞ!」
「ダメダメ、ユメトにそーゆーの通じないから」
「なんだと……!」
「そうと決まったら早くピアノを見つけてお祭りの準備しなきゃ! 名前は何がいいかな……ピアノ祭りとか、時計塔祭り?」
「何を勝手に話を進めている! ボクの話はまだ……っておい、待て、ユメト!」
本当の本当のおしまい