第7章 放課後デート?
夏休み最後の日、お婆ちゃんに頼んで朝から一緒にお稲荷さんを作った
お祭りの時にお稲荷さんを食べれなかったから食べて欲しい、というのを理由にして信ちゃんと会う口実を作ったのだ
私にしては頑張ったと思う。
こんな行動に出れたのはあの日、治君が励ましてくれたお陰かもしれない。
信ちゃんはお稲荷さんを喜んで食べてくれて、その姿が見れただけで満足してしまいそうになったけど……
目的はソレじゃない。
あの日からずっと聞きたかった事。
『信ちゃんて彼女、、、いるの?』
震える声にバクバクと鳴る心臓。
緊張で引き攣る私とは対照的に、信ちゃんは顔色一つ変えず
「彼女?おらんけど。」
あっけらかんと答えた。
『え?いないの⁇』
「おらん言うてるやん。何や急に?」
訝しげな顔をする信ちゃんに私もぱちぱちと目を瞬かせる
ーーーーじゃああの女バレの人はただの友達って事…⁇
親密そうに見えたのは私の勘違い、、、だった?
へなへなと肩から力が抜け緊張が一気に解けていく
『何だぁ……ただの勘違いかぁ…。』
「・・・さっきからおかしな事ばっか言うて、どっか悪いとこあるんちゃうか?
明日から新学期始まるし早よ休まなあかんで?」
ーーーーうん、いつもの信ちゃんだ。
そう思うと嬉しくて頬が緩んだ
『そうだね、早く休むね。』
鼻歌でも歌い出しそうな程ご機嫌になった私は素直に信ちゃんの言う事を聞き、家に帰ろうと立ち上がった
「そうや。新学期始まってすぐ2年は修学旅行があるさかい、土産買うてくるけど何がええ?」
『お土産?私に⁇』
嬉しくてつい食い気味に反応してしまった
「がどんなん好きかよう分からんからなぁ。
甘いもんがええか?それともキャラクターもんがええか?」
『・・・どっちも嬉しいけど、信ちゃんがキャラクターものを選ぶ姿が想像出来ないかも…』
「そうか?ほな甘いもんにしよう、」
『ウソウソ‼︎冗談だよ?信ちゃんが選んでくれるなら何でも嬉しい‼︎
だから信ちゃんが選んで欲しい‼︎』
鼻息を荒くしながらそう訴えると、信ちゃんはフッと笑いながら「分かった」と頷いてくれた
たったこれだけ。
これだけの事だけど、無意識にニヤけてしまう程私は浮かれていた。