第14章 秋、深まる
「ちょっと治君に同情してまうわ…。さん落とすのめっちゃ苦労したんやろなぁ…。治君はホンマよう頑張ったわ。」
『えーっと、、、それって、、、、⁇』
「恋愛経験乏しい私が言うのもなんやけど……さんて結構鈍いよね、ってハナシ。
侑君はさんの事嫌ってへんよ?むしろ側から見たら好意を寄せてるようにしか見えへんもん。」
『そんなはずーーー』
ない。
だって宮侑は何かと私の事を見下しては突っかかってきたり、他の女子には言わないような暴言だって吐いてきてーーーー
まず女として見てない感じだし。
たまに、ごくたまーーーに優しい一面を見せたりする事もあったけど…。
それがここ最近じゃ目すら合わない。
胸の奥がチクッと痛む
少し前まではなるべくあの男には関わらないように、って避けてたくせに……
何をこんなに気にしてるんだろう……。
完成した看板を眺めながら膝を抱える
『・・・・治君と付き合い出してから多分、お互い避けてる…。』
「うん、そんな気はしとった。」
『新学期始まった日に"おはよう"って挨拶したけどスルーされて……。
何かそれが結構ショック、だったんだよね……
宮侑はそういう事しないと思ってたから。
それから私も避けるようになっちゃった……。』
「そっか……。」
無視されるぐらいならいつもみたいに軽口を言い合ってた方がよっぽどマシだ。
「多分やけど侑君も今のさんと同じ気持ちなんとちゃうかな?」
『え…?』
「引っ込みがつかなくなってるんちゃう?侑君も大概意地っ張りやし(笑)キッカケさえあれば元に戻ると思うで?」
『そう、、、かな…。』
「そうやって!それに文化祭なんて良いチャンスやん!仲直りしてクラスも団結して一件落着‼︎
せっかくなんやから楽しい思い出作ろ?」
黒沢さんの明るい笑顔と前向きな言葉に気持ちがフッと軽くなる
『うん…。そうだね、皆んなと楽しい思い出作りたい。』
そうだ、ウジウジしてても何も変わらない
『黒沢さん、文化祭絶対成功させようね。』
「フフッ、当たり前やん‼︎」
そしていよいよ一大イベント、文化祭が幕を開けた