第6章 片思い
信ちゃん……その人、誰?
口には出来ない問いを心の中で問いかける
そこで初めて、信ちゃんの交友関係を知らなかった事に気づいた
バレーばっかりだと思ってたけど、信ちゃんだって普通の高校2年生だ
女友達や彼女がいてもおかしくない。
むしろあんなカッコ良い人、周りはほっとく筈がない。
ーーーー何で自分だけだと思ってたんだろう…
心のどこかで自分は特別だって勘違いしてたのかもしれない…
ペダルに乗せていた足を力無く地面に下ろす
呆然としたまま目線だけで信ちゃんを追うと、いつものバス停を通り過ぎ、駅の方へと向かうのか通りを曲がって行ってしまった
ーーーー彼女、、、かな…。
陽はすっかり落ちて空は濃紺に染まっている
きっとあの女の子を駅まで送るんだろう…
信ちゃんは優しい
私が遅くまで図書室で勉強してる時もよく心配してくれた
1人で帰るなって、遅くなるなら俺に声掛けていいからって。
そんな会話を思い出したら余計惨めになってくる
ポツンと立ち尽くす私を心配する人は誰もいない