第5章 夏休み
「侑1人か?珍しいな。」
「あー…さっきまでサムも居ったんですけど疲れたからとか何とか言うて先帰ってしもて。」
「治が?帰りは元気そうやったけどな。疲れ溜まってたんやろか。」
「あー、、そうやと思います〜」
あかん、顔が引き攣ってまう。
ここはひとまず退散しようと口を開きかけた時、
「侑、ちょっとだけ時間ええか?」
北さんに呼び止められた
「え?あぁ大丈夫ですけど。」
「本部におる親父んとこ行ってくるさかい、すまんが少しの間と居ってくれるか?」
「え、、、」『ぇ、、、』
メガネと声がかぶり思わず顔を見合わせる
てかコイツまた思いっきし嫌そうな顔したな。
『・・・信ちゃん、おじさんとこなら私も一緒に行くよ?』
かと思えば、北さんに向ける顔と声はガラリと変わる
ーーー分かりやすいヤツやな。
「いや、あっちはおっさん連中皆んな酔っ払っとるし絡まれるで?
そういうの苦手やろ?
すぐ戻ってくるさかい、ここで侑と待っとってくれるか?」
『・・・・・・・わかった。』
メガネは口を尖らせると渋々頷いた
コイツ学校におる時はほぼ無表情やのに、北さんとおる時は結構表情変わるんやな。
「すまんな、侑。少しの間だけ頼むわ。」
「はぃ。」
北さんを見送り、隣に立つメガネに視線を向ける
「コラ、あからさまに不貞腐れんな。」
『・・・・・別に。』
フイッと顔を背けかき氷をつつくメガネ。
そもそも俺かて好きで一緒におる訳ちゃうし。
ガシガシと頭を掻き短く息を吐く
「なぁ、北さん戻るまで立っとるのもあれやし、ベンチ座らへん?」
『・・・・いいけど。』