第5章 夏休み
「彼女どんなタイプやろな?ギャル、お姉さん系…は無さそうやし、実はロリコンとかやったら笑えるな!」
「いや、それは笑えないやろ。見たらあかんやつや。」
「でもちょっと安心したな?ミスターパーフェクトも実は祭りデートする普通の男子高校生やったって……っておい、サム?どないした?」
治は急に立ち止まると先程までの表情から一転、顔を曇らせた
「・・・・・いや、ほんまに笑えないやつや。」
そう呟く治の目線はじっと北の隣にいる彼女へと向けられている
「何や知り合いか?てかこっからじゃよう分からんやろ?追い越してさり気なく顔だけでも確認しようや」
悪戯っ子のように笑う侑に対し、治は小さく首を横に振った
「・・・いや、俺はパスや。
ただでさえ合宿で疲れとる俺のライフはギリギリやねん…。面と向かって受け止める程の余裕はないわ。」
「は?さっきから何言うてんねん。」
「・・・ツムには理解出来ひんやろな。」
「何やその言い方、ってサムッ‼︎どこ行くねん⁈」
「先帰っとる。」
踵を返した治は後ろ手にヒラヒラと手を振り去って行く
「はぁ〜⁇何やねんっアイツ‼︎」
訳分からん!と鼻息を荒くし小さくなっていく治の背中を睨みつける
1人取り残されたところで侑の好奇心は収まらず、再びターゲットの元へと足を忍ばせていく
ーーーサムのやつ、北さん目の前にして怖気づきおったか?
それにしても何も食わずに帰るなんて相当やな…。