第5章 夏休み
『あっ、すいません…』
ペコッと頭を下げるけど、すでに相手は気にする事もなく通り過ぎて行ってしまった
神社の目の前まで来るとさすがに人も増え気を抜くと迷子になってしまいそうだ
そんな時
「、こっちや」
大きな手が私の手を包み込む
『っ、、、』
し、し、、信ちゃんが私の手を握ってる‼︎‼︎
鈍臭い私を心配してくれたのか、ぎゅっと私の手を握ると歩きやすいように人の少ない方へと誘導してくれる
「人多くなって来てるさかい、よそ見しとると怪我すんで?」
『うん…ありがとう…』
ーーーーこれじゃあ本当にデートだよ、、、
バクバクと鳴り止まない心臓をもう片方の手で抑える
ーーーずっとこうしてたいな…。
信ちゃんの手、あったかい…
優しくて温かくて、まるで信ちゃんの人柄を表してるかのような手
握られた手とじっと見つめながら、私が気持ちを伝えたらこの手は離れてしまうのかな…
とふと考えてしまう
もっと近づきたいけど、そうなるぐらいなら今のままがいい。
信ちゃんは近いけど遠い、、、
今だけはこの手を離して欲しくなくて握った手に少しだけ力を込めた