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バレーボール✖️恋

第5章 夏休み


電話は母のパート先からだった

父と離婚後、精神的に病んだ母は塞ぎこむ事が増えた
見た目だけには常に気を使い、いつも綺麗にしていた母はここ1、2年でだいぶ老けこみやつれた。

それでもここの暮らしにも少しずつ慣れ、お婆ちゃんの支えの甲斐もあり、ようやく最近パートに出始めたばかりだったのに。


お婆ちゃんはとりあえず家で待ってもらい私はすぐに飛び出した
「倒れた」としか話を聞かなかったからどんな状況かは分からない

朝、家を出る時はいつもと変わりないように見えたんだけど……


ーーーー無理してたのかもしれない。



不安に押し潰されそうになりながらも、とにかく夢中で走り母のパート先のスーパーへと向かった




のだけど…。



「やだぁ、ったら。そんな髪ボサボサにしてぇ。汗でびっしょりじゃない。」


ゼェゼェと息を切らした私を見るなり、母は眉を下げ小言を言ってきた。

エアコンの効いた休憩室で呑気にお茶を飲む母を見て呆然と立ち竦む。 


『えっ、、と、、、、』


ーーーー倒れ、、、てない、、、?


髪を振り乱し汗でびっしょりな私に「ほら、飲んで?」とペットボトルを差し出してくる母。

逆に私が心配されてる状況に理解が追いつかないでいると、後ろから店長らしきおじさんが声を掛けてきた。


「いやぁ、大袈裟にしちゃってすいません〜
今日は祭りがあるからさんには外で飲み物売ってもらってたんだけど、途中で気分が悪くなったみたいでね。熱中症になったんじゃないかって周りが騒いだもんで…。」


『は、はぁ…。』


その店長さんの話によると、外で売り子をしていた母が急に座り込んだ事で周りは熱中症だと勘違いしたらしい。
その時は立つことも喋ることもままならない状態だったらしく、一時は救急車を呼ぼうかと思うほどだったと言う。



「いつもの立ちくらみよ。休ませてもらったからもう大丈夫、は帰っていいわよ?」


そう結局、ただの立ちくらみだったのだ。


人騒がせな母の代わりに店長に謝罪を入れ、母には心配して待っているお婆ちゃんに連絡を入れるよう頼みこの場を後にした。



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