第5章 夏休み
「、こんな時間にどうしたん?」
家の前で待つ私に気づいて信ちゃんが駆け寄って来る
『お疲れ様。その〜……信ちゃんと少し話したくて…』
「家、誰も居らんかったか?婆ちゃんは居るやろ?」
信ちゃんは家の中に視線を向け中へと促すけど、私は慌てて首を振った
『あっ、いーのいーの!家には上がるつもりないから。ちょっと確認、、、というか、、、』
ポリポリとこめかみのあたりを掻きながら視線を彷徨わせる
ーーーーお祭り一緒に行ける?
心の中で何回も聞く練習はしてきたのに、本人を目の前にすると何故か声が詰まってしまう
去年のお祭りは合宿の真っ只中だったから諦めた
けど今年は合宿の最終日…
疲れて帰って来るだろうしもしかしたら時間的に無理かもしれない。
けど、夏休みの思い出を一つだけでいいから信ちゃんと作りたい
そんな私の単なる我儘を、信ちゃんなら「ええよ」って笑って頷いてくれるんじゃないかって
心の何処かで期待していた